Duke Ellington
『The Popular Duke
 Ellington』(RCA Legacy)



personnel;
Cootie Williams, Cat Anderson, Mercer Ellington, Herbie Jones(tp),
Bud Brisbois(tp)
Lawrence Brown, Buster Cooper(tb),
Chuck Conners(btd),
Johnny Hodges,(as), 
Russell Procope(as,cl),
Paul Gonsalves(ts), Jimmy Hamilton(ts, cl), Harry Carney(bs,cl),
Duke Ellington(p), John Lamb(b), 
Sam Woodyard(drms)

Recorded in RCA Victor’s Music Center of the World, Hollywood, California in May 9, 10, 11, 1966




デューク・エリントン楽団が長年ライヴで繰り返し演奏してきたレパートリーのごく一部を再録音する。というと、何か後ろ向きな印象を受けますが、内容はさにあらず。

改めてエリントン/ストレイホーン組によって新しいアレンジによって録音し直した作品集であり(B面の1曲目のみ新曲)、マンネリ感どころか、びっくりするほど新鮮なの事に驚きます。

この時、エリントンはすでに67歳なのですが、これほどのエネルギーは一体どこから湧いてくるのでしょうか。

一曲目はエリントンで最も有名な曲であろう「Take The “A” Train」ですが、出だしが6/8拍子でピアノの演奏から始まりそれが途中から4/4拍子になってやがてオーケストラの演奏に変わっていく様は大変スリリングです。

それにしてもエリントンのピアノの豪快でダイナミック、かつ、エレガントなピアノには驚きますね!

最後に待ってましたと言わんばかりにクーティ・ウィリアムズのラッパが高らかに鳴り響きます。

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クーティ・ウィリアムズ。



2曲目「I Got It Bad」は比較的地味な曲ながら、エリントン楽団の至宝、ジョニー・ホジスのアルトサックスがフィーチャーされた必殺の展開であり、悪いはずなどあるはずなく。

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ジョニー・ホジス。エリントンとギャラを巡ってよくケンカしてたようです(笑)。


「Black and Tan Fantasy」のコシのあるハリー・カーネイのバリトンサックスの濃厚なソロ。


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ハリー・カーネイ。

「ザ・ムーチー」では、サックスの三人がクラリネットに持ち替えての、エロティックなアンサンブル。

ニューヨークのキャバレー「コットンクラブ」を沸かせていたサウンドはこういうものであったのかと想像できますね。


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ニューヨークにあったキャバレー「コットンクラブ」の経営者、オウニー ・マドゥン。アイルランド系の武闘派ギャングでした。

本作はコレだけではなくて、クラリネットが活躍する場面が多いのも特徴で、60年代のエリントンとしてはかなり珍しい事です。

かつて、エリントン楽団には、バーニー・ビガートというクラリネットを主に吹く奏者がいたんですけども、彼が脱退してからは、サックス奏者がクラリネットに持ち替え(主にラッセル・クロコープ、ジミー・ハミルトン、ハリー・カーネイ)で演奏することが多いです。

お聴きになっておわかりになると思いますが、びっくりするほど演奏が若々しく、エネルギッシュで、しかも夜のエロスをたたえた音楽なのですね。

1920年代からエリントンとともに活動している大ベテランメンバーも一部いるわけですから、楽団のメンバーも結構な年齢なんですよね。

コレは単なるグーレテストヒッツではなく、これまでのキャリアをある意味総決算するために録音されたアルバムでして、エリントンはこの後、これまでの演奏の再録をする事はほとんどなくなり、基本は、組曲などの新曲をひたすら発表し続ける事になります。

時代はビートルズとジョン・コルトレインが最初で最後の来日をした激動の時代でしたが、そんな中、エリントンもまた自分の活動に一区切りをつけ、ココからは、かなりホンネむき出しの録音作品を次々とつくっていく事となります。

RCAの優秀なスタジオとスタッフによる録音でもあり、エリントン楽団を全く聴いたことのない初心者にもオススメです。

いきなり戦前の古い録音から聴くよりも、この録音でエリントンの深く美しい響きをつかみ取ってから、古い録音を聴いた方が発見が多いです。

追伸

RCAがソニーに買収されるに及び、ソニーからRCA時代のエリントン楽団の録音が近年発売される事になりましたが、本作には3曲のボーナストラックがつきました。

その中の「キャラバン」がクラーベの入ったキューバ音楽風にアレンジされた大変な名演で、なんでこんないい演奏がカットされたのだろうか?と思うほどの素晴らしい内容でした。

恐らくは、アルバムのバランスを考えてエリントンがカットしたのでしょうが、ボーナストラックというものが基本的には好きではない私にとって、このトラックは大発見でした!

このトラックのためにCDを改めて購入する価値があると思います。




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現行のCDは左上のRCAのロゴがなくなってしまいました。残念!

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