Wes MontgomeryFull House』(Riverside)

Personnel ;

Johnny Griffin(ts), 

Wes Montgomery(g),

Wynton Kelly(p), Paul Chambers(b),

Jimmy Cobb(drms)


recorded at Tsubo, Berkeley, California, on June 25, 1962



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ウェス。右手の親指が異常に発達しているところに注目。



ウェスは1923年生まれなので、年齢的にはビバップ世代なのですが、インディアナポリスでの活動を中心としていたため、一般に知られるようになるのは1960年代になってからですが、そんな彼の代表作にして、ハードバップの屈指の名作ライヴアルバム。


カリフォルニア州バークリーの「ツボ」という店で行われたライヴで、サンフランシスコに滞在していた、マイルス・デイヴィス・セクステットのリズムセクションを借り、ココにジョニー・グリフィンのテナーを加えた、要するに臨時編成なのですが、ライヴからはそういう間に合わせ感は一切感じず、恐ろしく全員の息が合っている事に驚きます。


ハードバップとしては恐らく最高のリズムセクションであろう、ウィントン・ケリー、ポール・チェインバース、ジミー・コブをバックに、ウェスのギターはノリにノリまくり、グリフィンの黒々とテナーがコレに絡みまくり、最高にグルーヴィな演奏で、ライヴにもかかわらず、冗長さやダレがほとんどないのが驚異的です。


たった1日の演奏から、コレだけの名演を生み出してしまうというのは、当時のジャズの水準の高さを思わざるを得ません。


ウェスのギターの演奏は、もしかすると今聴くと、派手さに欠け、むしろ地味に聴こえてしまうかもしれません。


ウェスの演奏はロックのようなエフェクターなど使わず、ほとんどクリアトーンでのみ演奏していますから(当時のジャズギターはそのように演奏するのが普通です)、かなり地味かもしれません。


しかし、ウェスはそのテクニックを派手に聴かせるためにではなく、気持ちよさ、グルーヴィさに費やしているんです。


彼のギターの音の一音一音が角が丸くてコシがあるのは、ピックを使わず、すべて親指のみを使って弾くという、驚異的な弾き方で演奏している為です。


YouTubeで、1965年に行われたヨーロッパツアーの映像がたくさん見ることができるので、彼の手元を確認してみて下さい。


ちなみにこんな弾き方は、技術的に難しく、プロでもやりません。


完全にウェスが独自に生み出した技巧です。


そして、その抜群のリズム感でノリを重視して、早弾きなどはせず、しかし、オクターヴ奏法やコードを使ってメロディを弾くという高度なテクニックをさりげなく駆使していくんです。


コレを余りにも滑らかに心地よくやってしまうので、すごい事に気がつかないくらい超絶的にテクニックがある人なんですね。


しかし、彼は単なる器用な技巧的なのではなく、その抜群のテクニックが完全に彼の表現と密接に結びついているからこそ、彼の演奏は聴いていてホントに気持ちよく、何度聴いても飽きません。


私はジャズを聴き始めた頃からこのアルバムを聴いてますが、未だに飽きる事がないですね。


こういうウェスのギターとジョニー・グリフィンのテナーの相性は最高で、本作を名盤たらしめるために大いに貢献しています。


そして、ハードバップの名盤にケリーのピアノあり。というほど、ウィントン・ケリーのピアノが入った演奏は不思議なほどクオリティが確実に上がるのですが、コレは本作にもそのまま当てはまります。


本作はウェスを立てるためにケリーはソロはやや控えめにして(Blue N Boogieでのソロは見事です!)バッキングでウェスとグリフィンに心地よいリズムを供給し続けます。


ハードバップの魅力である、心地よさと白熱の程よいブレンドというものをこれほどまでに体現したアルバムは皆無であり、この名手揃いの本作の聴くことが、ハードバップを知る上でとても重要です。


このように素晴らしいギタリストで、1965年にはヨーロッパツアーを大成功させるウェスですが、1968年に心臓発作で惜しくも亡くなってしまいます。


よって、生前にその才能に見合ったアルバムはそれほど多く残すことができなかった事を考えても、本作の重要性が嫌が応にも増してくるのですね。必聴。



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