『EMPIRE』シーズン1


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ティンバランドが音楽を担当しているのもすごいです。

 

2015年から始まった、『24』(ブライアン・グレイザー)、『Lの世界』(イレーネ・チェイケン)のスタッフが組んで作られた、ショウビズ業界のドロドロ劇を描いた、新時代の『ダイナスティ』。

奇しくも『帝国』と『王朝』という題名の相似は決して偶然ではないし、恐らく狙っていると思います。

石油業界と音楽業界の違いこそあれ、たたき上げの一代で作り上げた「王朝」と「帝国」とその継承がテーマである事、次から次へと出てくる、身内のゴシップ、父と子、あるいは母と子の確執と、そして、元嫁の大活躍(笑)と、基本構造は本当によく似ています。

しかし、時代の違いもキチンとあります。

それが同性愛の問題です。

『ダイナスティ』の主人公の息子もゲイなのですが、実はこの問題は、ストーリーのメインにはあんまりなっていません。

しかし、『EMPIRE』は第1話から、主人公のルシウス・ライオンの次男、ジャマルは、お父さんが家賃を払ってくれている超豪華なマンションの部屋に、男の子と一緒に暮らしていて、もうイチャイチャしているんですね。

 

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 一代で帝国を気づきあげたルシウス。

 

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恋人のマイケルとイチャイチャするジャマール。

 

典型的なアフリカ系男性のマッチョ思考であるルシウスは、そんなジャマールとうまくいってないのですが(そこはダイナスティも一緒です)、ココに更に一捻りあるんですね。

ルシウスの息子で音楽の才能があるのは、ジャマールとハキームなのですけども、ルシウスのR&Bのシンガーソングライターとしての才能は、ジャマールに濃厚であり、それは恐らくは父親を凌ぐポテンシャルがあるんですね。

実は、ゲイである事により、その問題がルシウスの中で合理化されている事が、この父と子のオイディプス・コンプレックスの問題をややこしくしているのが、とても面白いです。

敢えてキツい言葉を使いますが、「黒人でゲイ」というのは、アメリカ社会で生きていく上で確実に厳しい差別を二重に(それは黒人からも差別されるという事により)辛い事になるのですが、ご存知の通り、アフリカ系でありながら、ゲイである事をカミングアウトして大ヒットを飛ばしたフランク・オーシャンの存在が、このジャマールというキャラクター造形に相当な影響があったものと思います。

これに対して、三男のハキームは末っ子らしく超マザコンの甘えん坊でやんちゃなのですが、その野生的なカンに基づいて行動するところが、母親のクッキーに似ています。この2人も対立しますけども、実は誰よりもママが大好きで、それは、年上美魔女のナオミ・キャンベルを恋人にして、「ママ」と呼んでいる辺りからわかります。

 

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ラッパーのハキーム。

 

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長男のアンドレは家族で唯一の大卒ですが、双極性障害に苦しんでます。。

 

あと、全体に言えますが、ブラックミュージック業界のドロドロの内実(しかし、絵はとてもキレイです)を描いているので、とにかく、エロエロシーンとが多い(笑)。

で、ドンパチはほどよく。

 

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対立するレーベルとの争いでギャングに襲撃されたりします。

 

主人公のルシウスは、ゲットー出身で元々ハスラー(各人意味は調べてください)でしたので、実はその頃に4人は少なくとも殺害しているような人です。

この主人公を演じるテレンス・ハワードは、『ハッスル&フロウ』で、コレまたゲットでのハスラー生活から抜け出すために、ラップミュージックの曲を作る。という、ど根性ブラックムーヴィの主人公Dジェイを演じていまして、『EMPIRE』はその事を知っている人には、まるで、Dジェイがとうとう音楽で大成功して巨万の富を築いた後の話のようにも見えるんです。

コレは明らかに、この事を踏まえて制作されていると思います。

また、本作を面白くしているのは、貧乏時代のルシウスと結婚し、自身も音楽プロデューサーとしても、夫のルシウスを助け、なんと、ディーラーとしての仕事まで手伝い、その時に稼いだお金で、「エンパイアレコード」を創設したという、コレまたど根性の人、クッキー・ライオンで、この稼業の事で逮捕され、ルシウスの名前を自供しなかったため、17年間も服役していたという女性なのですが(ハッキリ出てきませんが、その間に離婚が成立しています)、お話が、その出獄から始まるというくらい、本作の最重要キャラであり、時折、ルシウスを圧倒するほどの存在感です。

 

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元嫁のクッキー。プロデューサーとして有能です。

 

『ダイナスティ』も主人公のキャリントンの元嫁が、強烈なキャラでキャリントン一家にグイグイ絡んでくるナイスなキャラですが、クッキーも、コミカルさと凄みが同居する、タラジ・P・ヘンソンの演技が見事です。

彼女は、昨年公開された『ドリーム』という謎の邦題がついた、マーキュリー計画で離陸と着陸の軌道計算をしていたという、アフリカ系女性のNASA職員を演じており、コレまた、黒人差別と女性差別というダブルの差別と果敢に戦う役を熱演している、大変な実力派です。

アメリカのテレビドラマの王道ですけども、まず、1クールの途中まで作って視聴率を見て、続けるかどうか見て、以後、続行するかどうかを決めるんですが、本作は大人気を博しまして、最後の2話くらいにどんでん返しがバンバンかかっていって、次のシーズン見たいよ状態に私自身も陥っているわけですけども、この第1シーズンでの白眉は、ジョン・シングルトンが監督した回ですね。

ブラックムーヴィーの代表的な監督ですけども、その腕は全く落ちてませんね。ズバ抜けて出来が良かったです。

この他にもメルヴィン・ヴァン・ピープルズが監督している回もありますので、お楽しみに。

何人かの大スターがカメオ出演だったり、ミュージシャン役で出演しますので、コレもお楽しみに。

 

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株式会社上場にまでこぎつけるのですが。


※追伸

テレンス・ハワードとタラジ・P・ヘンソンは、すでに『ハッスル&フロウ』で共演してました(笑)。

 あの、最後の画竜点睛の歌を歌ってたのが、タラジでした!すいません!!


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 全く印象違うので、気がつきませんでした!