このインタビューは「千代田区まちサポ」の助成を受けた「地域のキーパーソン可視化プロジェクト」としてライブ配信&収録された動画を元に再構成したものです。

“個人飲食店のミューズ”

ゲスト:神七 オーナー 竹迫 七恵 さん


配信&収録日:2017年10月15日(日) 収録:ヒマナイヌスタジオ
テキスト起こし:オプンラボ

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川井:千代田区まちサポ助成事業「地域のキーパーソン可視化プロジェクト」、個人飲食店のミューズたち、シリーズが始まりました。ようこそお越しくださいました。


竹迫:はい、ありがとうございます。


川井:日本酒バー「神七」のママ、竹迫七恵さんに来ていただきました。

 最初にこのプロジェクトをちょっと説明すると、千代田区で飲食店をやっていたり、地域の面白い活動をやっていたりする人をお呼びして、その人とインタビューをする。普通のインタビューだとすごく堅苦しくなるので、このようにスナックのセットみたいなものをつくって、絵としては完全に飲食店に見えていると思いますが、ここはスタジオです。リラックスした状態でお酒を飲みながら、インタビューをしています。

 僕、個人飲食店に興味がありまして。オーナーが一人でやっていらっしゃる。そこにいつもお客さんが来て、繁盛していく。それは結局個人飲食店のオーナーに会いたいということじゃないですか。会いたいと思うような魅力のある人のある話を聞いていきたいということで、今回は七恵さんに来ていただきました。


竹迫:ご指名いただき、ありがとうございます。


川井:親しみを持って、「竹迫さん」と言うより「七恵ちゃん」と呼ばせていただいてもよろしいでしょうか。


竹迫:はい、喜んで。


川井:ありがとうございます。

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■「神七」ってどんなお店なんですか?


川井:では、最初にお聞きしたいのが、神七。僕も行ったことがあるのですが、知らない人はどんな店か分からないので、オーナーの七恵ちゃんから、どんなお店かをお話しいただけますか。


竹迫:お客さん同士がすごく仲のいいお店で、コの字カウンターなので、皆さん、顔を見ながら飲んでいただけるような場所です。基本は日本酒でやっています。


川井:そうだ、ごめんなさい。まだドリンクを。今日はなんと、お店でいつも使っている日本酒を持ってきていただいて。


竹迫:一押しの。


川井:それもご紹介いただいて。


竹迫:「TOKYO SAKE」、お薦めなので。いつもありまーす。


川井:私もいただこうかな。どちらがホストか分からないような状態になっていますが。

 場所は、神田でいちばんにぎやかな西口商店街があって、そのいちばん奥、ほぼ最後のエリアにあるわけですよね。

 では、乾杯ということで。よろしくお願いします。


竹迫:よろしくお願いします。いただきます。


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川井:今日はゆっくり神七の話、そしてどうして飲食店に踏み込んできたのか、そんな話を聞きたいと思います。

 神七は特徴がありまして、僕も面白いなと思ったのは、まず、お店としての構造が面白い。コの字型カウンターって、ドラマの『深夜食堂』とか、店主一人がやっていて、お客さんがあっちに来たりこっちに来たりする。

 さらに、僕もお店に行ったときに、七恵ちゃんがいろいろな方向にお話をして、見送るんですよね。銀座形式というのか、分かりませんけど。


竹迫:銀座形式なのか分からないですけど、ちょっとね。


川井:お客さんが帰るときにね。


竹迫:お店ってこっちのホームな気がして、外に出たらお客さまと対等になれる場所だと思っていて。


川井:あ、ドアに結界があるんですね。


竹迫:分かんないんですけど、やっぱり、お店はこっちのホームじゃないですか。じゃなくて、外に出た瞬間、お互い対等の立場になったときに出てくるのが本音かなと思っているので、それを最後にどうしても聞きたいんですよね。


川井:「あ、もっとあそこでトークしなければ」みたいなね。


竹迫:そう! だから、今日はすごく楽しんでくれたなとか、本当はもっとこうしてほしかったのかなとかがあれば、そこで出るものかなと、私はちょっと思っているので。あの時間は、私はすごく好きな時間です。


川井:だから、お店に七恵ちゃんがいなくなる時間があるんですよね。


竹迫:そうですね、ちょこっとだけありますね。

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川井:1分とか、2分とか。そうすると、コの字型ですから、お客さんもお互い対面になっていたり。みんな七恵ちゃんが好きで来るお店ですから、個人飲食店ですから。みんながデレデレしている状態があって、そのデレデレしていた様子を視ていたお互いが、ぱっと七恵ちゃんがいなくなったことによって、「いやー」みたいな(笑)。よくいますよねー、みたいな感じで、仲良くなる。会話が自然に始まるんですよ。


竹迫:そうなんですね。


川井:単純にカウンターが列だったら、そうはならないじゃないですか。10人いたとしても、1人目と10人目がしゃべることは構造的に無理じゃないですか。でもコの字型だから、3人・4人・3人であっても、全員が井戸端会議みたいな。これがすばらしいと思いました。

 で、もちろんその構造もあるんだけれども、七恵ちゃんのチャーミングな魅力。もう、すごいですね。

 神田はおじさんの街ですから、わりとシャツを着たような人が多いんですけど、もう、軽々とおじさんたちを喜ばせていく。


竹迫:いやいやいや、とんでもない。


川井:すごいなと思いまして、たいへん印象に残っているお店です。そんなこともあって、今回お誘いしたわけですが。


竹迫:一つ、いいですか。私のいない時間なんで、そういう空間になっているんだというのが、今日、知れて。


川井:そうか、そうだよね。誰もそれをいちいち報告しないものね(笑)。あれはあれで、すごくいい時間です。みんなシーンと黙っているわけじゃないでしょう。


竹迫:ああ、たしかに。


川井:「よく来ていますね。今週何回目ですか」「いやあ、もう3回目なんですよ」みたいな、そういう会話がね、けっこうある(笑)。


竹迫:なるほど、じゃあうれしいですね。それはそれで楽しんでもらえているという。


川井:楽しいですね。七恵ちゃん8割だけど、お客さんと知り合うのも楽しいのが2割。希有な店ですね。


竹迫:そう思っていただけて、ありがとうございます。

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■「神七」という店名の由来は?


川井:それで、神七という名前。言葉だけで聞くと、環状七号線みたいなイメージがあるんですよ。僕は高円寺に住んでいて環状七号線がすぐなので。

 「神七」という名前の由来を聞いておきたいなと思いまして。


竹迫:だじゃれみたいな感じで、「神田」の「七恵」で「神七」。


川井:神田の七恵、いいですね。


竹迫:よく、「本名は何?」と言われるんですが、本名で。


川井:本名なんですか、源氏名ではなくて。


竹迫:はい、正真正銘。


川井:これは両親に、名前のエピソードを聞いたことはあるんですか。


竹迫:あります。母がクリスチャンで、「7」って神様の数字なんですよ。だから、神の恵みがあるようにというので、つけていただいた。


川井:神のご加護を。では、教会に通ったり。


竹迫:そうですね、小さいときは通っていましたね。


川井:クリスチャン。日本酒バーだけどね(笑)。いいですね。


竹迫:おかげさまで、恵まれた人生を歩んできています。


川井:「神七」という名前を付けるまでに、候補はいくつかあったのですか。


竹迫:めちゃめちゃありましたね。

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川井:最後まで残った五つくらいは、どんな感じですか。


竹迫:一回、「なみなみ」で決まりかけたんですよ。


川井:なみなみとつぐ。


竹迫:なみなみとつぐし、オープンが7月3日だったので、73(なみ)。


川井:そこに掛けるんだ。


竹迫:偶然だったんですよ。うちのロゴを担当してくれた人、すごくすてきな女性の方に作っていただいたんですけど、うちのお店をつくるにあたって5~6人集まって、「七恵ちゃんのお店をどうする」みたいなのを。


川井:そんなプロジェクトチームがあるんだね。


竹迫:しかも無給でやっていただいた。本当にありがたい人たちの集まりがあったときには、ほぼほぼ「なみなみ」で決まりかけていたんですよ。しかもそのデザイナーさんにも、幻のデザインが。


川井:あるんだ。


竹迫:これで行きましょうみたいなお宝のがあったんですけど。

 それが決まって、土日で私、お店をオープンにするにあたって資格を取らなければいけないので座学を受けていたんです。その時、ふと、なんかしっくりこない自分があって。そのデザイナーの方にも、「あれだけ盛り上がったし、ロゴも決めてもらって本当に申し訳ないんですけど、白紙に戻していいですか」と言って。

 そのデザイナーさんに、あそこは七恵ちゃんのお店だから、七恵ちゃんが納得いくやつで行きましょうと快諾していただいてから、もう迷子ですよね。1カ月ぐらい迷子になって。


川井:それ、何月ぐらいですか。オープンが7月で。


竹迫:5月、6月とか。


川井:じゃあ、いろいろ作らなければいけない。名刺とか、のれんとか。


竹迫:そうなんですよ。しかも、そのぐちゃぐちゃだった時に、私の知らないところでその5~6人が集まって、コンペとかやってくれていたらしいんですよ。


川井:すごいね、みんな本気モードだね。


竹迫:私、全然知らなくて。前から神七という名前もあったんですけど、一回決まりかけたのがちょっとどうなのという感じになって「なみなみ」になって、そのコンペをへて。

 やっぱり私は神七がいちばんしっくりきていて。本当に申し訳ないんですけど、「神七」でお願いしますって。お店を始めるまで1カ月を切っていたと思います。


川井:それはピンときた。語感とか。


竹迫:そうですね、ピンときて。そのデザイナーさんにも、神七でお願いしますって言った後に、実は、七恵ちゃんがいろいろ迷っているというのを聞いて、みんなでコンペしたんだけど、神七で行きましょうというふうに。「ありがとうございます」って。


川井:地名と、自分の名前、一文字ずつ使っているわけだから、ものすごく覚悟がいるというか。すごくいい名前だと思います。


 でも、実は神七ってずいぶん前からあるようなイメージ。タイムラインで言えば神田経済新聞に載ったりとかかなり話題だけど、実は新しい店なんだよね。2017年7月3日オープンで収録しているのは10月なので、なんと、まだ3カ月ですね。

 この3カ月の前は、何をやっていたんですか。

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竹迫:ずっと飲食店をやっていましたね。銀座でやっていたし、いま神七でやっている場所も、検校さんという角打ちのスタイルでやっていたところをそのまま居抜きで借りていて、社長さんのご厚意で3カ月間はお客さんづくりでということで検校さんでアルバイトとして働かせてもらっていたので、実質神田にいるのは半年ぐらいですかね。


川井:まだ、神田フレッシュ。


竹迫:フレッシュな感じです。


川井:いま言っていたコの字型カウンターは居抜きで、検校という前のお店の段階からあって、設計などは関わって、その店で伸るか反るかという状態。

 最初に検校という状態でお店を見たとき、どう思ったんですか。


竹迫:私も川井さんと一緒で、コの字カウンターってすごくいいなと思って。

 前、銀座で働いていたお店が、L字というか、ストレートみたいな感じだったので。それこそ立ち位置によっては顔の見えないお客さんがいたんですけど、コの字だったらどこからでもお客さんの顔が見られるので。


川井:だいたい同じ距離で。横だと自分がカニみたいに横移動しなきゃいけないものね。


竹迫:横に移動しなきゃいけないのがないのが、すごくいいなと思って。


川井:私が中心だし(笑)。


竹迫:いろいろ目配せもできるので。


川井:だから、会話が全部聞こえるよね。


竹迫:すごく聞こえますね。


川井:L字だと、あっちだと聞こえていない。


竹迫:そうなんですよ。「何、なに?」ってなっちゃうんで。


川井:だいたい2mくらいですか、お客さんとの距離が。1mぐらいかな、そうとう近い。


竹迫:そうですね、場所によっては。特等席とかは。


川井:どこが特等席ですか?


竹迫:入ってすぐ。


川井:入ると、逆コの字になっているんですよね。入って右側に冷蔵庫とかがあって、前があって、左があって、奥がある。

 で、特等席が?


竹迫:入ってすぐ右側の。


川井:右側、それはなんで特等席なんですか。


竹迫:もうね、いつでも見つめあえるので。


川井:そこの席だけ高いんですか?


竹迫:それは来てからのお楽しみで(笑)。


川井:あらー(笑)。そこはみんなが特等席だと思っているの?


竹迫:どうですかね、分からない。でも、面白いことに常連さんって不思議とポジショニングがあるみたいで、絶対ここに座るなというのは、なんとなくありますね。


川井:席で覚えているというか。


竹迫:そうですね。ここの席が好きなんだなみたいな。

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川井:コの字は何席ありましたっけ。


竹迫:マックス13席ですかね。


川井:卓番を付けると13番まであると。特等席が1番になるのですか。13番から?


竹迫:どこかなー、やっぱり特等席が好きという人が多いですかね。


川井:やっぱり前から見たいんだね、七恵ちゃんのことをね。


竹迫:私も顔を見ながら話せるほうが。


川井:洗い物があって料理があって、そこは1から4までの席がしゃべれると。なるほどね。


竹迫:でも、もうちょっとマニアックな人になると、裏がいいと(笑)。


川井:誰ですか、そんなマニアックな。


竹迫:誰ですかね、もう、本当に(笑)。


川井:こっちから埋まっていくから、コンビニにおける本棚に人がいると、ショーウィンドウじゃないけれど、ドアのほうから、にぎわっているように見えるね。


竹迫:そうですね、ありがたいですね。

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■神田という場所に店を持ってどうですか?


川井:神田という場所はサラリーマンも多いし、居酒屋文化だったり、わりと庶民的じゃないですか。新橋とかにも近いし、基本的にはおじさんの街という認識だし。その場所に店を構えてみて3カ月、準備期間を入れると5カ月。店から神田を見て、どういうふうに感じましたか。


竹迫:すごく地元意識が強くて、温かい街だなというのを感じますね。

 前にいた銀座のお店とか、それこそ近くの飲食店で挨拶程度はするんですけど、お互いのお店を行き来したりとか、それこそ醤油足りないから貸してぐらいな感じのつきあいはまったくなかったので、安心するような街だなというのがあります。


川井:パブリックの概念が他の街と少し違って、街自体がリビングじゃないけど、交流が温かい。

 最初に挨拶回りとか、行くわけですか。


竹迫:挨拶回りは行っていなかったんですけど、神田の人って内神田で飲む人が多いので、その常連さんが飲食店を教えてくれるみたいな感じ。


川井:神田はお客さんのほうが長いからね。


竹迫:逆に教えてくれるんですよ。この近くだったらこういうところに行ったほうがいいよ、勉強になるよとか。むしろ常連さんが、自分が行っているお店のマスターさんを連れてきてくれたりで、そのマスターさんが神田ってこうだよと教えてくれたりとか。


川井:すごいね、平日営業しているのに、マスターを連れてくる。


竹迫:そうなんですよ。だから、すごく温かい街だなあというのが。


川井:でも自分も月曜から金曜まで、平日夕方から? 何時からでしたっけ。


竹迫:5時から、儲かるまで?(笑) お客さんがいなかったら11時半に閉めちゃうんですけど。


川井:そうすると、(他のお店に)行けないよね。


竹迫:終わって、終電くらいまで。働いておなか空いたので、ちょこちょこって。1時間1本勝負で行ったりします。


川井:神田はあまり土日にやっていないものね。圧倒的に平日だものね。


竹迫:で、ぎりぎり土曜日やっているところとかもたまにあるので、そこには、この前はありがとうございましたみたいな感じで行ったり、後はランチをやっているところに行ったり。うちはランチをやっていないので。

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川井:そこはまだ余裕があると。そうか、ランチで夜やっているお店を知るというのはいいね。

 配信が安定してきたようなので、皆さんのコメントなども見ながら。どうですか、皆さん大丈夫ですか。俺のフォーカス、甘い? いちばんチェックできないのが自分の画面なんです。


竹迫:どうやって見るんですか。


川井:配信画面を見るしかないんですけど。

 コメント、ないですね。聞き入っちゃっているのかな。


竹迫:「見ていますよ」「息がぴったり」(笑)。


川井:ありがとうございます。

 神田の江戸っ子文化って、何か落語の世界みたいな感じを僕も感じるんだけど、テンポがいいというか。七恵さんもテンポがいいじゃないですか。ちゃきちゃきしているタイプだけど、出身はどこなんですか。


竹迫:東京なんですよ。


川井:やっぱり江戸っ子なんだね。


竹迫:でも、母は鹿児島なので。九州の血は入っているんですけど、生まれも育ちも東京。

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川井:お祭りとかも好きなんですか。


竹迫:お祭りは好きですね。


川井:どこのお祭りの神輿を担いでいたんですか。


竹迫:小さいときは担いでいないんですけど、お客さまで中野の人がいて、この前は中野に担ぎに行きました。


川井:中野に!? 中野に神輿、あったっけ?


竹迫:あるんですよ。


川井:やばい、中野区の俺が。


竹迫:しかも、ブロードウェイのところを入る。あの商店街のところを担ぐんですよ。

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川井:普通の神輿? イベントとしてじゃなくて?


竹迫:普通のお祭りで担いで。天井が低いところがあるじゃないですか。あれって、御神輿を下げるんです。下げて、上げて、ってやるのが、面白いなって。


川井:なんと、中野まで行っていましたか。やばいやばい、俺の地元。

 お祭りのはっぴも似合いそうですよね。そういう下町文化に相性がよさそうな。

 前から失礼します。


竹迫:ありがとうございます。いただきます。おいしそう。


川井:配信しながら飲んだり食ったりするというのが、普通の配信と違って、すごく飲食店っぽいんですけど。

 じゃあ俺も日本酒いただいちゃおうかな。刺身だし。

 祭り、いいですね。

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■オーナーになったいきさつは?


川井:一つのお店を持つというのは一国一城の主になるみたいな、一つの夢じゃないですか。規模の大小はあるけれども、自分が好きにできる、自分がすべて設計できる場所を持つというのは、いろいろな飲食をやっている人が自分のステータスをどう考えるとかいろいろあると思うんですけど、やはり夢だと思うんです。

 しかも路面店じゃないですか。1階が入り口で、すっと路地から入れる。このスタジオも路面店なので。エレベーターや階段で上がってというのは、たしかに物件的には安いけれども、ふらっと入れる。人間が歩いていてチェックしているのって、実は1階しか見えていないというか、なかなか2階、3階の飲食店って、看板があったとしても見ないから、すごく恵まれた条件だと思うんですけど、その個人飲食店のオーナーになったいきさつ。ずっとそういう夢があって飲食店で修行を重ねてチャンスを得たのか、それとも何か偶然だったのか。そもそも個人飲食店を持つというのは、そんなにずっと思っていなかったのか。その辺りを聞かせてください。

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竹迫:正直な話を言うと、銀座の時のお客さまが検校の社長さんで、「この先どうするの?」みたいな話があったときに。


川井:ちょっと待って、この先どうするのという文脈になるのは、何か悩みを相談していたとか?


竹迫:いや、そういうわけじゃないですよ。たぶんオーナーさんも自分の神田のお店をどうしようかなと思っていたときに、たまたまふらっとこういう話もあるけど、みたいな。七恵ちゃん、この先どうするのみたいな話の時に、ちょっと面白そうだなと思って、じゃあ詳しく聞かせてください、みたいな。

 私自身も飲食店をやっていて面白かったなと思ったので。


川井:飲食店をいろいろやっていて、銀座のお店もやっていて。それは従業員的にやっていて、その時はどういう気分のステータスだったんですか。


竹迫:銀座の時は正直、飲食店は楽しかったんですけど、銀座の街自体は自分に合うのかなという葛藤は多少なりともあったので。


川井:違和感というか。キャラクターと街の?


竹迫:そうですね。ほんとにすてきな街なんですけど、自分がここに合っているのかなというのは、ずっとあって。ほんとに大好きなお客さまたちばっかりだった。でも、街はここじゃないかなみたいなのはずっと、なんとなく思っていて。

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川井:もうちょっと庶民的な街がいいと。


竹迫:そうですね、そういうのがすごくあったので。

 銀座でやっている時も、ここのお店だけ戸越銀座みたいじゃないという感じで言われていた(笑)。


川井:それは、七恵ちゃんのキャラが? お店自体のキャラが?


竹迫:私のキャラがです(笑)。


川井:お店は高い店なの?


竹迫:ちょっと高級感があったんですけど、別に、神七にいる私も銀座にいる私も、何も変わらなかったので。そうだよね、みたいな。


川井:銀座で働いている時に、七恵ちゃんのいる周りの空気が庶民的なるというのが分かってきたと。


竹迫:あれ、私、違うのかなみたいなのがありましたね。


川井:その段階で、どの街に行こうかなとか、どこかで物件を探そうかなと思っていたものなんですか。


竹迫:ぼんやりという感じだったんですけど、お話をいただいたというのがいちばん大きかったですかね。


川井:じゃあ、ご縁ですね。

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竹迫:本当にそうだと思います。来てよかったなと思って。


川井:銀座のお店側から見ると、従業員がいて、常連さんがいて、常連さんは神田でお店をやっていて、従業員を口説くみたいな図式に見えるじゃないですか。それは大丈夫だったんですか。オーナーも円満というか、引き抜きみたいな。


竹迫:大丈夫でした。おかげさまで


川井:すごいですね、そういう大人のあれもあったという。


竹迫:タイミングとかもありましたけどね。


川井:そろそろ、違うかなみたいなね。

 それでこっちに来て。それが何月ですか。


竹迫:4月。それも3日だったんですよね、たまたま。


川井:3日に縁があるんだね。7じゃないんだね(笑)。

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■日本酒が好きなんですか?


川井:日本酒が好きなんですか。


竹迫:日本酒が好きですね。すごくおいしいなと思います。


川井:業種としてはいろいろあるけれども、日本酒バーの人に引き抜かれたのは、ちょうどよかった。


竹迫:本当によかったなというのが。


川井:いろいろ酒があるけれど、順番を付けると?


竹迫:いちばん好きです、日本酒が。


川井:次は?


竹迫:何だろうなあ……、ウィスキーですかね。


川井:なるほど、お酒強いんだね。


竹迫:いやいや、お酒と男に弱くて困っているんです。


川井:今ね、みんなばたばたと萌え死んでいますよ(笑)。

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 僕、さっきタイトルを長く出しすぎて、七恵ちゃんのアップを切り換えるのを忘れていました。失礼しました。

 今回はカメラを新しく、このアングルを追加しまして。カメラだけがあるとレンズが目立つじゃないですか。で、木を隠すなら森ということわざがあるように、ここに古いカメラも置いてみました。カメラがいっぱいあるから、どれで撮っているか分からなくさせるという作戦です。


竹迫:さすが、腕がありますね(笑)。


川井:しかも前ボケに。キラキラしているのがあるでしょう。ゲッターロボの耳がキラキラ。


竹迫:耳がそんなにキラキラするんですね、すごい。

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川井:ちょっときらびやかに入れて、後ろは光らせて。あそこの照明も替えて。

 フォーカス合っているかな、大丈夫かな。


竹迫:楽しくなってきちゃいましたよ、川井さんのおかげで。


川井:ありがとうございます。

 みんな聞き入っているんじゃないですか、あまりコメントが来ない。

 ちょっと、七恵ちゃんの声で、「みんな、どこから見ているの?」って、言ってもらっていいですか。


竹迫:もう、みんなどこを見ているの?


川井:違う違う(笑)。「どこから見ているの?」。そうすると、コメントが来るの。「いま沖縄から見ていまーす」みたいに。

 どこ見て……。それもいいですね(笑)。

 これ、7秒ごとにスイッチングされていますので。ちょっと待ってくださいね。

 では、コメントをくれた人には七恵ちゃんがもれなくコメントを拾ってくれますから。

 お願いします。

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竹迫:大丈夫ですか。


川井:ごめん、もう行き過ぎちゃった(笑)。

 では行きますよ。3、2、1、どうぞ。


竹迫:みんな、どこから見ているの? 教えて。

 ……OKですか。


川井:OKですよー、OKに決まっているじゃないですかー。

 いま花火がバンバン上がりましたから(笑)。

 このアングルね、すごいですよ。距離が50cmくらいしかないですから。


竹迫:そうですね、お店でもこの距離感はないですよね。


川井:この席はお高いですよ。


竹迫:1回目ということで、私もちょっとがんばらなきゃと思って。


川井:七恵ちゃんをこんな近くでゆっくり見られるのはすごいことです。

 寝袋から見ていますとか……、そういう場所じゃなくてさ、地名を言ってほしかったわけです。


竹迫:森田さん、どこの寝袋ですかね。


川井:森田さん、横浜の人ですね。

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■日本酒はどうやって選んでいるんですか?


川井:日本酒がお好きということで、今日も日本酒をどんどん飲んでいただいているわけですが、日本酒ってすごくいっぱいあるじゃないですか。日本酒を扱っている店はけっこう飲み比べセットって置いていたりするんだけど、神七には飲み比べセット980円で三つ、おちょこに入れてくれる。相当な種類の日本酒があるというのが日本酒バーとしての売りだと思うんですけど、日本酒ってものすごい数があるわけでしょ。


竹迫:めちゃめちゃありますね。


川井:どうやって選んでいるんですか。


竹迫:やっぱり自分が飲んでおいしいと思ったのと、業界、話題ってあるじゃないですか。それと、常連さんがおいしいよと言ってくれるやつ。この三つですかね。

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川井:反響をね。入れてみて、反応を見て、かつ新しい話題のものを仕入れて。それで生き残っていく定番と、入れ替わるものがある。


竹迫:そこはどうしてもありますね。


川井:定番はどんなものが多いんですか。


竹迫:やっぱりこの「TOKYO SAKE」。お願いしまーす。


川井:これはどんな特徴のある?


竹迫:これはフルーティーな感じで、日本酒をあまり飲まないという人でも「おいしいね」と言ってくれるのと、もう一個びっくりしたのが、どちらかというとはやりの味なんですけど、ずっと日本酒を飲んでいて濃ゆい味が好きな人でも「こういうフルーティーなやつで初めておいしいと思った」と言って、毎回うちで飲んでくれるお客さんもいるので、こんなに即戦力になる子だったんだなって。

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川井:稼ぎ頭ですね。


竹迫:はい、間違いないですね。


川井:かっこいいもんね。ちょっと今風というか、スタイリッシュというか。


竹迫:ラベルもすごくシンプルで。


川井:LED入れて照明にしてもかっこいいみたいなね、漁り火みたいなね。


竹迫:楽しいですね、これね。私も見よう。

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川井:意外としゃべりながら僕もいろいろ同時に考えないことが、音とか配信とかスイッチングとかがありまして、なんとなく目線が泳いでいますが、お許しください。その間にゆっくり食べていただいて。4カメ中3カメは七恵ちゃんですからね。

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■日本酒に合うおつまみって何ですか?


川井:日本酒バーということは、ビールやハイボールもあるけれども、やはり日本酒がメインだと。この日本酒に合うおつまみも作っていますね。これはどんな感じで、たとえば辛口だとかフルーティーだとか、いろいろなラインナップを考えて、おつまみは考えるんですか。


竹迫:そうですね。後は最近ちょっと思ったのが、やはりお魚料理が合うなと思って、先週からぶり大根を作ってみたり。


川井:いま神田エリアでぶり大根、熱いよね。


竹迫:そうなんですか、よかったよかった。しみしみのぶり大根を作ってみたり。中学校の調理実習以来でサバの味噌煮を作ってみたりとか。


竹迫:意外に好評だったんで、第2弾を作ってみたりとか。


川井:ぶり大根がね。

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竹迫:釣りも最近好きなので、一回、釣ったお魚でいろいろお料理してみたら意外に好評だったので、また釣りに行ったときには、お知らせしまーす。


川井:けっこうアウトドア派なんですか。


竹迫:そうなんですよ。人生一度きりなので、ハードに使いたいなというのが、常日頃。


川井:けっこう体育会系な感じ?


竹迫:いやあ、運動神経はないんですよ。気持ちは体育会系なんですけど。


川井:じゃあ釣りも行くし、狩りもするし、みたいな(笑)。


竹迫:パンパーンって?(笑)


川井:釣りはどこまで行くの?


竹迫:この前は銚子に行きました。しかも3時半出港だったので。


川井:土曜日の?


竹迫:日曜日ですね。


川井:車でしか行けないね。

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竹迫:そうですね、知っている人に車を貸してもらって土曜日の夜中に出発して3時半に着いて。ほんと、面白かったです。自然って、すごいですよね。


川井:何時間いて、どのくらい釣れたんですか?


竹迫:その時、全然釣れなかったですね。船酔いも相まって。


川井:漁船ってけっこう、ボッコンボッコンくるものね。


竹迫:最初船釣りした時が、それこそ神七のお客さまと一緒に15人くらいの大きな船だったので全然船酔いもなく、30匹ぐらいポンポン釣れたので、船釣り超楽しいと思って、釣りの好きなお客さまにぜひ連れていってくださいって言って、一緒にみんなで行ったときには全然釣れなくて。やっぱり自然って厳しいんだなというのを。でも、楽しかったです。


川井:えさは何を使うんですか。


竹迫:東京湾で釣ったときは何かすごいやつを使ったんですけど、この前の銚子の時はホタルイカだったので、全然大丈夫でした。


川井:腹減ったら味噌で食べられるみたいな(笑)。

 へー、やっぱり魚が合う。やっぱり日本酒には和食ですものね。

 では、神七の人気おつまみにはどんなものがあるんですか。

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竹迫:いちばん人気なのはシークレットで、次はマカロニサラダ。


川井:ポテトサラダではなくてマカロニサラダ。


竹迫:マカロニサラダとポテサラは最近デッドヒートな感じ。


川井:チューニングしているんですか。


竹迫:チューニング。2位を争っていて、3位は、最近寒いので、おでんが。


川井:煮込んでグツグツ。温かいものが似合うね、やっぱり日本酒はね、雰囲気がね。


竹迫:寒くなってきたので、特に。


川井:トライして面白かったつまみとか。これは変わったものを作ったとか。

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竹迫:私はよく分からないですけど、あえて真夏に豚汁に作ったんですよ。締めにお味噌汁とかいいかなと思ったら、常連さんが「七恵ちゃん、今日のお薦め、何?」と言って、「豚汁です」「真夏に?」と言われた瞬間、「ですよねー!」と言って(笑)。


川井:季節感、なし(笑)。

 でも時間帯によって、さっきみたいに締めが欲しい人もいる。ごはんものみたいなものも、後半は用意する。


竹迫:でもだいたい10時以降に来る人はほとんど召し上がらないかなというイメージが。


川井:もう何軒も行っているか。


竹迫:1軒目に来る人と、何軒目かで。


川井:そもそも、何軒目に来る人が多いんだろう。


竹迫:うーん。

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川井:神七って、西口商店街で言うと、商店街の奥に大きい会社とかがあるじゃない。だから帰る人は、最初に通り過ぎるところだよね。そうすると1軒目なのかなと思いきや、遅くに来る人は、残業の人なのかな。それとも何軒も行ったけど、また戻ってきて神七に行くのかな。


竹迫:そういう人もいますね。ありがたいことに。


川井:僕が神七で飲んでいた時にすごく印象的だったのが、僕は8時くらいに行ったんです。そうしたらこっちのサラリーマンのおじさんがすごくいい顔をして飲んでいるんですよ、一人でね。コの字の4番から8番くらいなんですけど、そこで飲んでいらっしゃったので、いい顔していらっしゃるなあと思って、まさにさっきのお客さんに挨拶しに行っている時に、「今日は何時から飲んでいるんですか」って聞いてみたんですよ。そうしたら、「今日はね、5時半に会社が終わったから、5時35分にここに来た」と言ってね(笑)。俺はそれがすごく印象的で、すごいなこの人、今日は神七に行こうと決めていて、5時半にキンコーンと鳴ったらすぐ来たんだな、それぐらいこの店に来ることを楽しみにしているんだ。

 それで、8時ですよ(笑)。2時間半も飲んでいらっしゃる。すごいな。


竹迫:その後、どこにでも行けちゃいますよね。


川井:それぐらい愛されている。

竹迫:ほんとにね、温かい人が多いので。心配してくれているというのもあると思いますよ。大丈夫なの、みたいな。


川井:良心的ですよね、価格がね。


竹迫:いやいや、もう明朗会計で、バーンって打ち出していますからね。

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■神七にはどんなお客さんが来るんですか?


川井:僕も行ったときしかお会いしないから、神七にはどんなお客さんが来るのかなというね。ずっと自分が定点として見ていて、どんなお客さんが来るんですか。


竹迫:早い時間は、近くの会社の方が多いですね。5時から7時の間はそれこそ5時半に会社が終わって、5時33分に来られる人とか。0次会、1次会に来る人が多いのかな。

 だから、「もし何かあったら助けてね」と言って。


川井:甘え上手。


竹迫:いやいやいや。地域性がね。


川井:いちばん混んでいる時間帯はどこら辺なのかな。


竹迫:日によるんですけど、早い時間か遅い時間かという感じです。中間はちょっと。


川井:中間のほうがママとゆっくりしゃべれるかもしれない。


竹迫:かもしれないですね。


川井:そうか、じゃあ11時半とか、おいしくないのかもしれないね。


竹迫:いやいやいや、分からないですよ。


川井:みんなそこを狙ってきちゃうからね。


竹迫:だれているママが見られる(笑)。


川井:疲れているから。


竹迫:今日はもう洗い物をいっぱいしたよ、みたいな(笑)。


川井:毎日ずっと立って仕事をしているわけで。8時間ぐらいですか、10時間ぐらいですか、仕込みも入れたら。


竹迫:まあでもちょっと休みつつやらせてもらっているので。


川井:すごくタフですよね。


竹迫:とんでもないです。皆さんが楽しんでもらえれば。


■お店で起こった面白いエピソード、教えてください。


川井:13人の席のコの字型カウンターの個人店。いろいろな人間模様があると思うのですが、店の中でこんなエピソードがあったよとか、お客さん同士がこんなことになったよみたいな、面白エピソードを聞かせてほしいんですけど。あれば、お客さんのプライバシーに問題のない範囲で。


竹迫:お客さん同士がすごく仲がいいので、うちで知り合ってそのままどこかへ飲みに行っちゃうとかもありますし。


川井:それは男性と女性が、みたいな。


竹迫:いや、男性同士です。


川井:おっさん同士がってこと?(笑)


竹迫:いやいや、お兄さま同士が飲みに行ったりとか、ありますね。


川井:仲良くなる店ですものね。


竹迫:めちゃめちゃそうなってくれるのがうれしいなというのが。


川井:それはいいですね。


竹迫:ほんとにほんとに、ありがたいと思いますね。


川井:酒場って、人間がその人らしさに戻っていく場所というか、昼間に会社なりなんなりでストレスがあったときに、それを解放して、家に帰る前にどこかでガスを抜くじゃないけれども、ガスを抜きやすいとか居心地がいい場所というところ。みんなで行くところもあるし、一人で飲みたいときに選ぶ店もあるし。そうやってみんないろいろな飲食店を回って、自分の気分に合ったときにそこに行くと思うと思うんですけど、神七に来るお客さんの感じを見ていると、一人のお客さんが多いんですか、それとも二人のお客さん。13席しかないから10人も20人も入れないけれども。


竹迫:団体ではないですよね。その人によりますね。一人で来るのが好きな人もいれば、必ず誰かと来る人もいるという感じですかね。


川井:でもだいたい2~3人な感じの?


竹迫:でも一人でも来ますね。一人の人が多いのかな。


川井:一人ですっと入ってくる人って、何か特徴があるのですか。偵察っぽい感じ?(笑)


竹迫:偵察っぽい人はいないです。そういうスパイみたいな人はいないですけど。


川井:引き抜きだ、話題の店だから。


竹迫:全然そういうことはないんですけど、どうなんだろう。勝手な私のイメージなんですけど、常連さんは抜きにして、基本、一人で飲みたい人って、今日は何かいろいろあった人なのかな、とは思いますね。常連さんはしゃべって、「お疲れー」みたいな感じなんですけど。


川井:食べながらやっていると、自分が食べているときにしゃべれないという問題点があります(笑)。


竹迫:いいですね、こういう感じ。おもしろーい。


川井:飲み屋の会話というのはそこだけの場で起こる会話なんだけど、ライブ配信は、ここの配信システムは自動で全部やっているから今は二人しかいないんですけど、これを見ている人は何十人もいたりとか、アーカイブも含めると何百人が見ることになるというのがちょっと面白くて。空間的なキャパシティ、関係ないんですよね。ここに10人しか入れなくても1000人入れる、東京ドーム並みに入れるみたいな、そこが面白いです。


竹迫:めっちゃ面白い。すごいですね。

 私、SNSがすごく疎いので。こういうSNSに触れさせていただいて、ありがたいな。


川井:肉じゃがです。


竹迫:これ、作ったんですか。


川井:作りませんよ(笑)。高円寺はいっぱいスーパーがありまして、安くて、いろいろお惣菜が充実しているんです。庶民的なので。

 いっぱいビニール袋にお惣菜を入れて、中央線でこっちに来るんですよ。


竹迫:なんか、いいなあ。ありがとうございます、ほんと、いろいろなことを教えていただいて。うれしい。


川井:喜び上手! 喜び上手だねえ、もう、人を気持ちよく……、飲食店の人、やっぱりすごいね。何でもない言葉だけど、喜んじゃうよね。すごくうれしい。


竹迫:ほんとにほんとに。SNSはほんとにいちばん縁遠くて、高校の時の友達に、「私、LINE始めたから」と言うと、「え、七恵ちゃん、LINE始めたの!?」って言われるぐらい、あんまりデジタル系をやらないタイプだったので、ほんとに縁遠いなかこうやって呼んでいただいて、こういう感じなんだというのを教えていただいたのが、ほんとに。


川井:リアルコミュニケーションが得意だからね。


竹迫:いやいや、違うんです、ほんとにアナログな感じで。できれば文通とかしたいくらい(笑)。


川井:あー、昔の雑誌って、文通の住所とか出ていたものね。


竹迫:文通とか交換日記にちょっと胸キュンしちゃうタイプなので。


川井:意外と古風なところがあってね。


竹迫:そうです、はい。


■どうして飲食店をやろうと思ったんですか?


川井:それで今回、神七で究極のミニマムなサイズなものをやっているわけですけど、そもそも飲食店をやろうと思ったきっかけは、どんなことだったんですか。


竹迫:私、ちょっと忘れられない夜があって。

 お店を閉めようかなと思った時に、すごいベロベロの常連さんが来たんですよ。「大丈夫?」って言って、「もう帰ったほうがいいんじゃないの?」と言ったら、「1杯だけ七恵ちゃんのお店で飲ませて」。「いいよ」と言って。それで私も1杯飲んで、お客さんも1杯飲んで本当に他愛もない話をして、「もう帰るわ」「そうだね、もう電車もなくなっちゃうし、そろそろ帰ったほうがいいよ」と言った時に、「いやあ、七恵ちゃんの笑い声が聞けて、明日もがんばれるわ。じゃあね」と言ってくれたのが、私の中では。


川井:ズキューン、みたいな?


竹迫:キューンみたいな(笑)。


川井:それは飲食店冥利に尽きるね。


竹迫:冥利に尽きますね。別に何を話したわけでもないんですけど。それはうれしかったな。


川井:七恵ちゃんの声は、声フェチの人にとってはすごく好きな人が多いと思うんですよ(笑)。ハスキーでテンポ感があって、リズムがあるから、ポジティブな感じ。そこに行くとその声とか、笑い声に接せられるというのが、一つの癒やしになるんだね。


竹迫:それだけ言って、そのお客さんはすっと帰っていったので。そうなんだと思って。

 それを違う人に言った時に、「私、笑い袋でも作ろうかな」と言ったんですよ。


川井:七恵グッズ?


竹迫:七恵笑い袋みたいな。そうしたら、「え、俺も欲しい」と言われたのが。


川井:作ったほうがいいんじゃない。いま作れると思うよ、ノベルティで。キーホルダーみたいにして。「今日も、がんばろ!」みたいな。缶コーヒーの景品にそういうの、ありますよね。励ますやつ。

 売れると思うよ、それ。1万円ぐらいでも売れるんじゃない?


竹迫:ちょっとね、それもうれしいなと思って。


川井:いいですね、心の通う飲食店みたいなね。ただごはんがおいしいとかお酒がおいしいだけじゃなくて、コミュニケーションを売りにするというのは、個人飲食店の特徴ですよね。


竹迫:ほんと、ありがたいなあと思って。そんなふうに思ってもらえていて。


■飲食店をやる前はどんなことをしていたんですか?


川井:そういう天性の飲食店の才能があると思いますけど、そもそも飲食店をやる前は、つまり、飲食業で行こうというのと、何をしようかなという分岐点が人生の中にあったんですか。


竹迫:そもそも労働って、何かしたことに対しての対価じゃないですか。いちばん最初の労働って、私、倉庫内作業だったんですよ。高校1年生の時の春休み。


川井:高校1年生。学生証、見たい(笑)。セーラー服、ブレザー?


竹迫:うち、セーラーでした。


川井:セーラーですか! たまりません!

 ……すみません、失礼しました(笑)。


竹迫:それで、自分の適性って分からない時期に倉庫内作業をやっていた時に、黙々と何かをするのがちょっと苦手なんだなと思って。向いていないんだなと思って、その次にやったのが、居酒屋のホールスタッフだったんです。それをやった時に、こうやって人と何か話すのがすごく楽しいなと思って、ずーっと接客、人と話す仕事をしていたので、飲食店もやっていたし、介護の仕事もやっていたしというので、何か人と関わる仕事というのを、ずっとやっていましたね。


川井:バイトで実体験、実際の社会に出て、疑似社会体験みたいなものをする前は、自分はこういう仕事をしたいなという夢みたいなものは、ぼんやりとはまた別のものがあったんですか。


竹迫:どうなんだろうなあ。


川井:まだ高校生ぐらいだと、そんなには。


竹迫:ないですよね。


川井:どうするかな、と。


竹迫:高校生でアルバイトした時には、自分の時間がお金になるというのが不思議な感覚でしたね。

 でも、すごく大事な仕事だと思ったんですよ。それがないと成り立たない会社とかもたくさんあったので。あ、こういう仕事もあるんだというのを知れたのは、すごくいい経験だったなとは、思いましたね。


川井:社会の仕組みをね。


竹迫:そうです。こうやって携帯電話も1個1個電池を入れてちゃんと動くか動作を見て、しまってというのがあって、こうやって物流って流れているんだというのがあったので。こうやって社会って回っているんだなというのは、学ばせてもらいましたね。


川井:でもやっぱりずっとしゃべらないで、黙々とする単純作業は向いていないから、人間と何か会話したり、人間を相手にしたい。


竹迫:というのが、ずっとどこかにはありましたね。


■飲食店に自分が向いていると思う瞬間ってどんな時ですか?


川井:なるほど。そんな七恵ちゃんがいま飲食店をやっていて、あ、飲食店、私に向いているのかもなみたいなことを思う瞬間は、あったりするんですか。


竹迫:ありますね。


川井:飲食店の中に入っちゃっているから、飲食業なんだからそんなこと認識しないのかもしれないけれども、そういうのを感じる瞬間、あります?


竹迫:うちのお店って、いちおう11時半までというのはあるんですけど、楽しくなっちゃったりすると夜中までやって、いやあ、明日早く仕込まなきゃというときに睡眠時間も短いし労働時間も長くなって、疲れたなと思うときでも、お客さまから「いやあ、今日はここに来て楽しかった。ありがとね」と言われたら、もうすっと救われる。ああ、やっていてよかったなとか、自分はこれが好きだなって、思います。


川井:冷静に考えると、労働時間が伸びて、休憩時間が減り、睡眠時間が減っているという、ブラック企業みたいな状態なんだけれども。


竹迫:ブラックじゃない、全然、楽しいですよ。


川井:つまり拘束時間が長いんだけど、それに伴う精神的な対価がある。金銭的も含めて。


竹迫:すっと、あー、楽しい、よかったなって。


川井:ストレスがあまりない。


竹迫:ないですね。それが、向いているなと思いますね。


川井:ストレスフリー。


竹迫:あ、よかったーって、思えたので。


川井:それはしょっちゅうあるものなんですか。


竹迫:ありますね。


川井:すごいね、しょっちゅうそういうフィードバック、来るんだね。


竹迫:うれしくないですか、「今日、ここに来てよかったよ」と言ってくれるだけで、それで。よかったなって、自分でも。


川井:そう思っていても、そういうコミュニケーションにならないお店もあるものね。形態としてはね。


竹迫:大丈夫です、外に出ればフィフティ・フィフティなので(笑)。


川井:あー、やっぱり外に出る時に言われているんだ。そうか、あの時に。


竹迫:私はもう、外に出るのがいちばんかなと思うんですけどね。


川井:そうか、みんなお客さんも聞いていないからね。自分の思いを七恵ちゃんに言える。


竹迫:私も伝えてほしいんですよね。「今日はちょっと、あれだったね」とか言われると。


川井:あれだったね!? 隣の客がうるさかったね、みたいな?


竹迫:そんなことは、うちのお客さんは最高なので、ほんとに。

 たとえば、今日はちょっとマカロニしょっぱかったねとか言われると、自分がまだ至らなかったなとか思うので。反省点もありつつも、楽しかったよと言ってもらえるだけでもう、よかったなって。


川井:あの時間が大切なんですね。


竹迫:私はすごく好きな時間ですね。


川井:なるほど。


■自分でふらりと行く飲食店はどんなお店が好きですか?


川井:そんな七恵ちゃんが、自分でふらりと行ったり、店がはねた後に行くお店。神田の店でもいいし、今までの経験で自分が行った時にすごく居心地がいいなとか、どういうお店が好きなのか、ちょっと聞いてみたい。


竹迫:私も個人飲食店が好きなんですね。それこそ、毎回行ったらあの人がいるとか、いつもあの人がいてくれるというところが、やっぱり安定じゃないですか。何を話すわけでもないし、何があるというわけでもないんですけど、それだけで安心できる部分もあるので。


川井:いつも同じ人がいるということがね。


竹迫:後はやっぱりお店としてがんばっているところは応援したいですよね。


川井:がんばっていないお店もあると(笑)。


竹迫:神田は全部がんばっているお店だと思います。個人ってね、自分に直結するわけじゃないですか。


川井:そうか、チェーン店でとりあえずタスクだけやっていればいいんじゃなくて、本当にいろいろなことを考えなければいけない。


竹迫:自分も勉強になりますし、自分もがんばらなきゃなと思うので、すごくいい刺激になります。


川井:やっぱり日本酒が好きということは、日本酒バーや日本酒系に行くの?


竹迫:そうですね。でも、ランチとかも行くので、そこは全然違うところに行ってみたり。


川井:じゃあ、今までで神田に半年構えて、ランチも含めて何軒くらい回ってみました?


竹迫:10軒くらいは行ったんじゃないですかね。後はお客さんが教えてくれる場所もあるので、10軒以上は、西口以外にも。


川井:そんな中で、実名を出してもいいお気に入りの店、一つ二つ教えてくださいよ。


竹迫:まる文さんと、時津洋さんと、優和ぎさんと、ミアというトリッパのところですかね。


川井:やばい、俺も行けていない。優和ぎさんはあるね。まる文さんも。


竹迫:いろいろ、よくしていただいているので。


川井:テレフォンショッキング的に言うとね(笑)。お店をつないでいくみたいな。電話して、みたいな。

 神田も本当にお店が多くて。僕も神田に引っ越してきて、ここは神田司町2丁目なんですけど、司町からぐるぐる蚊取り線香みたいに開拓しているんですよ。だからなかなか西口商店街まで近づけないくらいの。ここいら辺だけでもそうとうあるんですよね。淡路町や小川町も含めてなので。でも、ちょっと駅から離れているから、面白い個人店が多いですね。個性的ですよね。あまり外れないというか、逆に駅に近いほうが外れる。


竹迫:でもやっぱり個人店って、自分でいろいろ直結している部分があるからというのもあると思うんですよね。


川井:だって雑居ビルの2階、3階の居酒屋とか、雑居ビルに入るまでの階段とかの掃除が全然されていなくて、これは共用スペースだとはいっても飲食店だったらあなたがきれいにしないといけないんじゃないのみたいな、あるもんね。埃が、これはきついみたいなね。そういうのは、いっぱいあります。

 神田はまあ、3割ぐらいは外すんですけど(笑)、7割ぐらいは大丈夫で。


竹迫:こっちのほう、外れ、ないんじゃないんですかね。みんながんばっているなって思います。

 オーナーさんに思いを聞くと、いろいろ熱い思いを持って来ているんだなとすごく思うので。


■あなたにとって飲食店とは何ですか?


川井:いやあ、いろいろ聞いてきました。『プロフェッショナル 仕事の流儀』みたいになってきましたけれども。最後にお聞きしたいのが。


竹迫:もう最後なんですね、残念。


川井:あなたにとって飲食店とは何ですか?


竹迫:心のほぐれる場所です。


川井:……今ちょっとカメラのスイッチングがアップのカメラじゃなかったので、もう一回言ってもらおうかな。


竹迫:残念、残念、残念でならない(笑)。


川井:ほぐれる。なるほど。

 ほぐれるというのは、何だろうね。たとえば自分が悩みがあっても、それの解決方法が提示されているわけじゃないですよね、たぶんね。具体的に悩みを相談しているわけでもないじゃない。ほぐれるって、どういうことなんだろう。


竹迫:心がほぐれる瞬間ってことですか? たぶんなんですけど、お客さまとかも、今日の心のコリは、ここでほぐれるなと思って行っていると思うんですよ。その期待値ってあるじゃないですか。そこを超えるようなお店が、いいなって思いますね。


川井:なるほど……。

 今日は、たいへんいい話を聞かせていただいて、ありがとうございました。日本酒バー「神七」のオーナー、竹迫七恵さんに来ていただきました。ありがとうございました。


竹迫:ありがとうございました。またよろしくお願いします。


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