浅野温子と言えばトレンディドラマでの大仰な演技が印象に残っている人も多いと思いますが1981年公開の「スローなブギにしてくれ」では台詞も少なめに目で語る猫そのものな女を演じています!

映像考古学としては80年代作品はあまり懐かしさはありませんが、今回は彼女の魅力を中心にご紹介していきましょう!

この映画に主演した時の彼女はちょうど20歳!劇中では高校生の役になってます。映画では猫がかなりひどい仕打ちを受けるシーンが多いのですがこのショットは秀逸!猫が2匹という絵です!



あの主題歌が冒頭からかかりドーンとタイトル!



首都高から見える東京タワー!81年でもまだ東京タワーの回りはビルなんにもありませんね!



音楽監督自ら主題歌を歌う!いいですねー!



猫目線のカットから映画は始まります。今で言うGoProライクなアングルが新鮮です!



山崎勤がメインです。白いマスタングに乗っている謎めいた男。



でもそのマスタングはあんまりかっこよくありません。すれ違うシルビア?トレノ?の方が気になる!



浅野温子扮するさち之の家のシーンは京急の黄金町あたりと思われます。



望遠レンズで捉えた圧縮効果が印象的なロケカットです。



高架横のボロアパートというのはこの時代の貧乏を表現する常套手段とも言えますね。



ここで出て来るやつれたママは春川ますみです!ええっ!トラック野郎のジョナサンの奥さん!子沢山のいい役でしたがこの映画では幸薄い役をやっています。



甘えたかと思うといなくなってしまう猫のような女を上手く演じています。



原田芳雄は友情出演として出て来るのですが冒頭いきなり心臓発作で死んでしまいます。短いシーンですが奇妙な役なので印象に残ります。



この葬式のシーンで訳ありな女と神妙な顔の山崎努。これはその後の伊丹十三の名作「お葬式」を彷彿とさせるアンビバレントなムード!実はこの映画にも弁護士役としてチョイ役ながら伊丹十三は出演もしており3年後の「お葬式」にこの映画がつながってるような気もしないでもないですね。



これも京急のどこかの駅前ロータリーなのですがローラスケートをする少年たちを背景にした印象的なシーンです。



炎天下でかき氷を食べながら話すシーンは首筋にまとわりつく汗も印象的です。



藤田監督は印象的な音の演出をする監督でこのシーンなんかもすごく面白いです。



このマスタングは冷房がないのか常に乗っている二人は汗だくです。



映画は後半からクイーンエリザベスというスナックが舞台となってきます。



このスナックのマスター役の室田日出男が実にいい!



スナックの棚にはなつかしきピンク電話があります。喫茶店とかだいたいこれでしたよね。



スナックの常連役でのちの沙悟浄である岸部一徳も出てきます。



昭和な邦画につきものの濡れ場は青年のパンツがブリーフです!



物語の進行と共に眼力が増していく浅野温子!



こういうカットが実に印象に残ります。



そして変態感が増していく山崎努!



裸にサスペンダーが似合う男は昭和なら山崎努、平成なら浅野忠信でしょうか?



この映画では浅野温子は結構大胆な濡れ場を披露しています。20歳だけど体当たり!



手前は別れた奥さんのクルマです。ブルーバードでしたっけ?



ちょいちょいヌードシーンがあります。



全編を通じて出て来るのがこのゴムのドア!びろろーんと開いて出て来るのですが奇妙で面白いです!



そして別れた妻が育てる娘からもらったカセットテープはソニーのCHF!いちばん安いノーマルテープでしたねぇ。。次に高級なBHFは緑だったかな?



だんだん悪くなっていく浅野温子です。このあたり「高校生ブルース」の関根恵子にも通じるものがありますね。



カセットをコンポに入れて再生するシーン!みんなこの頃はこういうオーディオ持ってましたね!



またゴムみたいな暖簾から山崎努が出てきます。



うしろのボトルキープの名前が気になります。



こちらは小田急線沿線のどこかの駅前でしょうか?青い公衆電話です。



強姦に合ってしまいひどいケガをしたところ。



その強姦を復讐する!と追跡していくところは画面が4分割!



京急の黄金町に戻ってきたところです。



この映画ではスナックが重要な場所として描かれているんですが実にいいです。ちょうどヒマスタをスナック型のスタジオにチューニングしているところだからスナックのシーンはじっくり見てしまいます。



ふとインサートされる山崎努のアップ!このカットすごくて前後と少しトーンが違っていて短いけどここだけ目にろうそくのようなものが写っているんです。面白い演出!



このカットなんかCMで見たような気もします。高崎〜八王子の電車のドアに佇む浅野温子のカット!



道路を並走しながらの見事なカットです!大変だったんだろうな〜!



だんだん人生を悟ったような目になっていく浅野温子です。隣は若い岸部一徳。



ちょっとゲイっぽいムードも醸し出す室田日出男扮するスナックの店主!そういえばスナックだけど店主が男ってのは面白いですね。そういう意味では女役ですね。



劇中でかけるレコード、これがなんと主題歌そのもの!



その主題歌を聞きながら顔を上げる浅野温子!



そしてニヤリとする見事な表情!もうこれ撮りたくて撮ったでしょ!ってくらいキラーカットです!



マスターもほっと一息ついて一杯。いい表情してます。



さらに主題歌のアルバム・ジャケットも大写しに!ザ・シルバーズという架空のバンドになっているようです。レーベルはソニーですね。



この表情もいいですねー!



言い忘れていましたが相手役は長身の古尾谷雅人です。



マスタングは最後は東京湾に。。



そこに石橋蓮司がチョイ役で刑事として出てきます。味わい深い。



カメラもちょくちょくモチーフとして出てきます。検察?が撮っている16mmカメラに手を上げる山崎努。



東京湾の空撮で映画は終わります。



最後にもタイトル!



そして終タイトル!



ちょっと長いという感じもしましたが1980年代の時代の空気みたいなものが上手く詰まっているので興味ある出た人はAmzonプライムにありますので20歳の浅野温子の魅力を堪能してください!