ジョン・ブアマン『未来惑星ザルドス』

 


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このメタルなタイトルロゴがジワジワきます。

 

ショーン・コネリーはジェイムス・ボンド役をやめてからややしばらく低迷期がありましたが、恐らく、本作がコネリーの底値であったでしょう。

そして、ここからが反転攻勢でありました。

本作はカルト映画という文脈で語られるべき作品ですが、しかし、コネリーしても、シャーロット・ランプリングにしても脚本を読んで納得して出演したというのが信じがたい怪作/快作です。

ブアマン監督は、ある種の文明批判として、この極端なSF作品をイギリス人らしいヘヴィてドープな感覚で撮ったのだと思いますが、ある意味、『キン・ザ・ザ』よりもぶっ飛んだ映画になってしまっていて、笑うことすらできないブラックさに満ち溢れています。

日本の低予算特撮も真っ青なデザインセンスには、経済が低迷しきった当時のイギリスがそのまま重なりますが、そのバットセンスが次第にスウィフト級の風刺の世界に直結していくところが本作の真骨頂でしょうね。

2297年。

人類は大激変が起きているらしく、少数の人類は、「ボルテックス」というコミュニティを作って不死の存在となり、それ以外の、大多数は原始時代のようになり、ボルテックスの人々は、この野蛮人となってしまった人類が増えすぎないようにコントロールするために、「ザルドス」という神を作り上げ、野蛮人たちの一部に武器を与えて殺させるという、トンデモな世界になっていました。

 


ザルドス!

 

ボルテックスの人たちは死ぬこともなく、労働からも解放されているので、チンコの研究をするとか、もうどうしようもなくなっているんですね(笑)。



 ボルテックスの人々。もうここまでくると清々しいですよね。


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チンコの研究をしている、シャーロット・ランプリング。

 

ここまで極端ではないですが、富野由悠季『ザブングル』は、この構図の作品ですね(こちらはグッドデザインのグッドテイスト作品ですが)。

ショーン・コネリー演じるところのゼッドは、この野蛮人の処刑人をやっているのですが、ある日、このボルテックスに侵入します。

 

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コレはいかんでしょう(笑)。

 

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 全米ライフル協会が大推薦しそうな世界です?

 

その侵入の仕方がすごいんですけども(笑)、それは見てのお楽しみということで。

初めは迷い込んできたフリをしているんですが、実はそうではない事がわかってきます。

ゼッドは、ある時、野蛮人狩りをしていると、書庫を見つけます。

彼は何とかそこにある本を一生懸命読むんですね。

そして、ある本に出会った時、ザルドスの秘密を知ってしまい、彼は「神殺し」を決意したんですね。

つまり、ゼッドは初めからボルテックスの世界を破壊するために侵入していたんです。

極端な設定とモンティ・パイソンもびっくりなバッドテイストは、この文化人類学や心理学でも普遍的なテーマを際立たせるためのもので、そこにこそ、ブアマン監督の意図があったわけです。

そんなゼッドの意図がボルテックス側にわかってしまう事により、ボルテックスの世界は大混乱に陥っていくわけですが、コレは見てのお楽しみです。




とにかく、全編がこんな調子なので、これが普通なんですよ(笑)。


ショーン・コネリーは終始ふんどし一丁とかつらで頑張っているのですが(笑)、やはり、特筆すべきはシャーロット・ランプリングのドSな目つきでしょうね。




人間にとって死とはどういうものなのか?を『ブレードランナー』とはまったく違うアプローチから成し遂げた、実は『ブレードランナー』と同じくらい重要なSF作品。

 

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Grateful Dead.