Andrew Hill『Black Fire』                 (Blue Note)


Personnel;
Joe Henderson(ts),
Andrew Hill(p),
Richard Davis(b),
Roy Haynes(drms)

recorded on November 8, 1963 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey





アンドリュー・ヒルは、ハービー・ハンコックやマコイ・タイナらととともに1960年代から注目されているピアニストなのですが(とはいえ、1931年生まれなので、遅咲きです)、彼の作曲する曲が今ひとつキャッチーではないのと、その曲と結びついた彼の独特のタテの線を強調した奏法が災いしてか、日本では人気がないような気がします。

多分、一般的なジャズファンには、ブルーノートでの一連のリーダー作しか知られておらず、もう少し詳しい人でも、70年代のスティープルチェイスや日本のレーベルである、イーストウィンドへの録音(『オマージュ』というヒルの最高傑作とも言える録音があります。必聴!)くらいを知識として知っているかもしれません。

しかし、実際のヒルは2007年に亡くなるまで、ずっと活動し続け、彼の門下生の多くは、ニューヨークで現在活躍しています。

ヒルは、ほとんど来日せず、彼の門下生もまた来日しないので、彼ら彼女らの活動が日本ではほとんどわからない事が大きいのですが(1990年以降、ニューヨークのジャズシーンが日本にあまり伝わらなくなってしまいましたのでヒル以外のジャズメンの活動も、一部の好事家を除いてはよくわからないんですけどもね。。)、そういういった、事情によって、この実力者への過小評価が日本では現在も続いているように思います。

本作は1963年という、ジャズが熱気を帯びていた時代のブルーノートでの録音で、このメンツで駄作が生まれる事自体が難しいほどですけども、全曲ヒル作曲で、これまた実力者のジョーヘンによるワンホーンの傑作です。

どの曲もヒルらしい捻りと緊張感と鍛え上げられた鋼のようなクールな質感を帯びた演奏に惚れ惚れとしてしまいます。

ジョーヘンとヒルの相性はなかなかいいようで、必要以上に熱血にならず、非常に緻密で丁寧にソロを積み重ねていく芸風は、ヒルの曲調と合ってます。

多分、2017年にこのアルバムが出たら、年間ベストだと思います。

しかし、1963年。というのは、コルトレインやドルフィーが大暴れし、ロリンズも元気ですし、ショーターがメッセンジャーズで脚光を浴びていた時期です。

これほどの完成度を誇るアルバムでも、これを遥かに凌ぐジャズの怪物たちがたくさんいたのですね。

そういう意味で、ヒルとジョーヘンはその実力に見合った評価を1960年代には得られていなかったと思います。

また、「永遠の偉大なる助っ人」であるロイ・ヘインズのプレイは、またしてもこのアルバムのクオリティに貢献しています。

それにしても、ロイ・ヘインズがジャズの名盤というものにどれほど貢献しているのかですよね。

今こそ、本作の真の凄さを知ってもらいたいですし、アンドリュー・ヒルの実力をもっと知ってもらいたく(ついでにジョーヘンの実力も知ってもらいたく)、本作を紹介しましたが、60年代のブルーノートのヒルのリーダー作には、駄作がありませんので、コレで気に入った方は、ドンドン聴いていただきたいですね。

なかなかクセになる独特の世界です。





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