Donald Fagen『Nightfly』

 

 

こう政治家の傍若無人を毎日見せられると、ココロが荒んでくるんですけども(政治家の皆さま、ホントに大変だと思いますよ)、そんな皆さまのココロのオエイシスになる事必定の音楽が本作でございます。

スティーリー・ダンの片割れが作ったソロ作ですけども、一説によると、最も制作費がかかったアルバムとかなんとか言われてますが、私は特に調べる根気はないので各人でやってくだい(笑)。

『ガウチョ』で洗練の極致になってしまい、どうにもならなくなって、一旦、そのソングライターユニット(すでにバンドですらなくなっていました)は解散するんですが、案外、早いことソロ作が出ました。

相変わらず、とてつもないメンツを集めた贅沢な作品なのですけども、実際の作品は、『ガウチョ』が行き過ぎてしまった世界をうまく脱却した、リラックスした、いい感じの作品でした。

この、散々カネと時間をかけていい感じの作品を作る。というのは、フェイゲンの一貫した哲学なのでしょう。

大瀧詠一がこれまた行き着くところに行き着いてしまった『each time』以降、一切アルバムを発表せずに亡くなってしまったのは、自分へのハードルが余りにも高すぎたからなのでしょうね。。

フェイゲンは、いい意味で開き直って、あっけらかんと作ったのが、本作の素晴らしいところなのだと思います。

コレができたから、スティーリーダンは再結成し、ソロ作も出し続けるという事が出来たのではないでしょうか。

楽曲もほとんどダンと違わないし別にそんな事どうでもよいハイクオリティだしみたいな図々しさが、ダン名義とソロ名義には未だにあるんですけども(笑)、そういう適当さが(音楽が適当と言ってるんではありませんよ)、仙人のような境地でマイペースに作品を作れるようになれたんでしょうね。

いずれにしても、本作がなかったら、案外、ずっとフェイゲンとベッカーの2人は隠遁生活になっていたのかもしれない、重要作(しかし、リラックスしたいい曲しかない)。

できうれば、アナログ盤をある程度のヴォリュームで聴ける環境で、コーヒーでも飲みながらお聴きくださいませ。

ヒップの極みでございます。

 


ジャケットも秀逸。