ヴェルナー・ヘルツォーク『アギーレ、神の怒り』

 

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この異様なオープニングの構図がすごいですね。ヘルツォークの才能を感じます。

 

ヘルツォークは一貫して、異形、辺境を描き続ける監督ですが、今回は16世紀の南米が舞台です。

南米を舞台にした作品はこれ以外にも、『フィツカラルド』という、こちらは陽性の狂人を主人公にした、『地獄の黙示録』のスタッフですら震えた上がるのではないかという過酷な作品がありますけども、本作も、南米の奥地に黄金郷を探しに行くという、狂気の沙汰を描いております(笑)。

 

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別働隊の隊長。

 

こういう異様な題材に血肉を与える事ができるのが、怪優クラウス・キンスキーでして、彼は黄金郷を探している本隊から別れて、食料や情報を仕入れる事を任務なのですが、どうやら、この部隊が先住民達に狙われているようなんですね。

 

 

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こういう偏執狂を演じさせたら、右に出るものはいない。

 

増水してイカダが流されてしまったり、踏んだり蹴ったりな状況に隊長は本隊に帰って体制を整えようというのですが、キンスキーはコレに反対して隊長を銃撃します。

そして、事実上、キンスキー演じるアギーレが隊を支配する事となりました。

ここから、延々と川下りをしていくんですが、勝手に帝国を宣言し、領土を僭称し、先住民を無理くりカトリックに改宗させるなどの乱暴ぶりがかなり淡々と描かれます。

 

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コレを20世紀まで、欧米諸国はやり続けているのだから、すさまじいものがありますね(いや、現在も続いているのかもしれません)。

とにかく、全編が南米の密林という極限状況なのが凄まじく、アギーレだけがひたすら元気というか(笑)、完全に黄金郷に取り憑かれ、仲間を次第に滅亡に導きます。

 

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要するに、エイハブ船長なのですが、コレを演じるクラウス・キンスキーがすごいですね。

大してメイクもしていないのに、怪物のような風貌で(笑)。

実の娘のナスターシャ・キンスキーも娘役で出演してますけども、なぜ、あんな『アダムス・ファミリー』みたいな人からこんな美女が生まれるのか、全くわかりません。

ちなみに、ヘルツォークとキンスキーが初めて組んだ作品でした。

ヘルツォークは後に『キンスキー、我が最愛の敵』という映画で打ち明けるように、クラウス・キンスキーは撮影現場ではホントに扱いづらい人だったらしいです。

 


 

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