中島貞夫『現代やくざ 血桜三兄弟』

 

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冒頭のレアグルーヴ感満点のサントラ(なんと山下毅雄のさっきです)から、やくざ映画と思えないノリです。

まだ、あの『仁義なき戦い』が作られる前のやくざ映画は、まだまだ過渡期というか手探り状態だったのだと思いますけども、コレもその中の一本と考えてよいでしょう。

渡瀬恒彦がエラく生き生きとしていて、ギラギラ感よりも、青春映画っぽいのが面白いですね。

戦後直後の混乱から高度経済成長期にかけてのヤクザ社会の形成を描く事が、いわゆる「実録もの」の定番の内容ですけども、これは完全にタイトル通りの現代、すなわち、1970年代のやくざを描いているんですね。

 


大阪から岐阜へやってきた小池朝雄が地元のヤクザにイヤガラセを始める。

 

なので、ヤクザたちのギラギラとした異様な熱量は、本作にはあまり感じないんですね。

そのかわりに、生活感がものすごく伝わってきます。

 

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一升瓶持って公園でクダを巻いているのが昭和です。

 

私の家の近くに住んでいる、若いおにいさんが実はヤクザの若いモンなんです。というくらいの感覚なんですね。

で、このリアリティは、渡瀬恒彦だからこそ出てくるんですね。

全体的に漂う、藤田敏八作品のようなアンニュイがなぜか東映の絵で展開するのか、とても不思議です。

菅原文太が大卒で伊吹吾郎の兄貴といのも、すごくおかしいです(実際の菅原文太は早稲田大学卒業してるんですけど)。

 

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設定にムリがあるこの兄弟(笑)。

 

最後の殴り込みは、ジョン・ウーを彷彿させるなかなか凄絶なもので、火炎瓶を使っているあたりが大卒を感じさせます(?)。

任侠路線がだんだんマンネリ化してきたため、現代のヤクザを描こうとして試行錯誤しているのがとてもよくわかる作品。

 

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