Sun Ra and His Arkestra『Live at Motreux』


Personnel ;
Ahmed Abdulla, Chris Capers, Al Evans(tp),
Craig Harris(tb), Vincent Chancey(frh), 
Reggie Hudgins(ss),Marshall Allen, Danny Davis(as, fl),
John Gilmore(ts), Pat Patrick, Danny Thompson(bs, fl),
Elo Omo(bcl), 
James Jackson(ancient Egyptian infinity drum, basson),
Sun Ra(p, org, moog),
Hayes Brunette(b), Tony Bunn(el-b), 
Clifford Jarvis, Larry Bright(drms), 
Stanley Morgan(congas), 
June Tyson(vo, dancer), Judith Holten, Cheryl Banks(dancer)


Recorded live at the Montreux Jazz Festival, Switzerland, July 9, 1976




サン・ラはあまりにも膨大な作品を遺して、土星にご帰還されたので、ビギナーには途方にくれますけども(笑)、案外、このアルバムが私はオススメです。

まだ、Amazonでも入手できますし。

コレは、1976年のモントルー・ジャズ・フェスティバルでのライヴの模様を記録したもので、アーケストラ(誤植ではなく、サン・ラは、自らのビックバンドを「アーケストラ」と名付けました)の、のびのびとした演奏を聴くことができる好盤だと思います。

また、サン・ラのソロピアノがふんだんに入っている点でも、このアルバムはかなりオススメです。

CDで2枚組に恐らく当日の演奏がすべて入っているということなのでしょうけども、CD1枚目は曲の間に切れ目がなく、メドレー形式でドンドン曲が続くので、黙って聴いていると、ものすごく長い一曲を聴いているような感じですが、アーケストラはこういう演奏が実際多かったみたいです。

それにしても、アーケストラと比べると、渋さ知らズがいかにちゃんとしているのかというね(笑)。

よく、フリージャズの文脈でサン・ラが扱われる事が多いですけども、「バップを経由しないで、いかに自由に演奏するのか」というテーゼが完全にフリージャズのムーヴメントの一部と同じなので、外観上、フリージャズのように思えるのですが、多分、当人たちは単に好き放題やってるだけのような気がしますけどもね(笑)。

フリージャズが持っている特有の過剰なまでの怒りのエネルギーみたいなものが、サン・ラたちの演奏からはあんまり感じなくて、でっかい音で思い切りよく気持ちよく演奏している爽快感ばかりが伝わってくるんですよね。

ソロ回しも別に凝ってもいないし(むしろ、冗長すぎるきらいすらありますが。。)、ソロイストもかなり限定されています。

というか、ソロができる人がもともとあんまりいないのでしょう。

ソロもお世辞にもうまいとは言えないし、アンサンブルも縦の線がしょっちゅうよれたり、こぼれたりと、デタラメこの上ない(笑)。

この辺りも、フリージャズではあり得ないですね。

フリージャズで、ヘタクソというのは、基本ないですから。

でも、彼らの演奏には、テレとかカッコつけとかがないんですよ。

トコトンやりきっているんですね。

その清々しさです。

長いサン・ラによるピアノソロが冒頭についた「A列車で行こう」の爆走ぶりは、ホントに「急いで乗らなきゃ!」と思わせます(笑)。

こういう自由奔放さがライヴという場で発揮されるのは当然の事です。

サン・ラの豪快なピアノの弾きっぷりはどうですか(笑)。

エリントンが発狂したみたいですよね。

セシル・テイラーにも聴こえなくもないですが、セシルはめちゃくちゃテクニックがありますから、展開が全然違いますよね。

セシルは明らかにインテレクチュアルです。

エリントンに憧れるバップ志向のない人というのは、ちょっとオカシイ人が多いのですが(笑)、サン・ラもまたそういうそのご多聞にもれません。

オルガンの演奏も激越で、宇宙感が満点です(笑)。

アンサンブルがほとんど騒音みたいになる事もありますけども、サン・ラ以外はアコースティック楽器ですから、ノイズミュージックみたいは激越さよりも、今では可愛らしく聴こえます(そんなことないか)。

結論から言えば、サン・ラと彼のアーケストラは、二流の集団だと思います。

が、それがマイナスになっていないというか、このガタピシと進む感じが明らかに彼らにしか出し得ない特有の魅力になっています。

事実、アーケストラに似たビックバンドなんて、どこにもないです。

自分たちのオリジナルな音にこだわっていたからこそ、サン・ラは自転車操業にも関わらず、あのビックバンドを土星に帰還するまでやり続けたんだと思います(アーケストラは今でも活動しています)。

まあ、有り体に言って、「狂人」だったのだと思いますけども、彼の音楽はマガイモノでは決してございません。

とにかく、演奏することの喜びがダイレクトに伝わる演奏です。