私が「擬似空撮」にハマっているのは仕事とは関係なく純然たる個人的な興味からである。それは都市風景を記録するのに最高の手段だと思っているからだ。

「映像の世紀」などの古い映像にこころが惹かれることがある。そこに写っている人はみなもうこの世にいないというのが独特な愛おしさを誘発する。その映像が撮られた時は「現代」なのであるから見慣れた風景のはずだ。しかし50年たつとその価値は一変する。

のちに「東京ジョー」のアウトテイクだとわかったGHQ占領期の新橋や渋谷を活写した35mmフィルムの後退映像※ に心を奪われたのもそこに名も無き人々がイキイキと生きている様が驚異的な解像度で残されていたからだ。

だからDJI OSMOという超小型のジンバル内蔵4Kカメラを見た時に、あのクオリティの映像を個人でアーカイブできる!と直感した。私がネーミングした「擬似空撮」というのはドローンのような映像という意味あいがあるが実は興味はドローン風映像を撮りたいということではない。街の群衆を撮りたいのだ。そしていろいろな人が偶然カメラの前を通り過ぎる瞬間をアーカイブしたい。

そこで自分がやりたいことは何なのか?を確認する意味も込めてこれまでのテスト撮影のショットを4分に編集してみた。音楽はフィリップ・グラス的なものが似合うと感じている。

(4Kの擬似空撮で記録した2016年のアメ横、秋葉原、神保町、渋谷の擬似空撮映像)


※(GHQ占領期の新橋や渋谷を活写した35mmフィルムの後退映像)
 

追記:「擬似空撮による都市と人間の記録」というFacebookグループを開設しました。
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