ハンフリーボガート主演の「東京ジョー」は終戦3年後の1948年に東京で撮られた初めてのハリウッド映画で映像考古学的にも興味が尽きない。

日本ではお蔵入りとなり1993年にひっそりと公開されているので相当な映画マニアでなければ見たことがない映画かもしれない。

この「東京ジョー」はドラマ部分はハリウッドで撮影され東京部分はB班(セカンドユニット)がハンフリーボガートの代役(スタンドイン)で撮影している。

このスクリーンプロセス(俳優の背景にプロジェクションしてカメラで再撮する手法)用の未使用テイク(アウトテイク)が流出しGHQの記録映像としてフィルムアーカイブに登録されていた。(関連記事>1948年に東京で撮影されたあの35mmフィルムの正体がわかった!!

このブログでは「東京ジョー」が1948年に東京を35mmフィルムで撮影した大量の実景素材を探すことを最終目標にしながら、当時の東京のどの辺りで撮影が行われたのか?を探求していく。

今回は映画の冒頭のタイトルバックの羽田空港着陸のシーンだ。
まずこの動画をご覧頂きたい。

(解像度360p)


これは1948年の羽田空港(当時はGHQが接収中なので羽田空軍基地)に着陸するかなり珍しいシーンではないだろうか?

日本はGHQにより航空機運用を禁止されている時期であり3年後の1951年に日本航空がDC-4を飛ばし始める。

(1)タイトルバックは富士山となっている。松竹か!というエキゾチックジャパンなアングル! 


(2)キャストタイトルの背景は空撮の大田区あたりか?


(3)羽田空港全景と思われる。


(4)当時の羽田空港はもちろんモノレールなど開通していない。


(5)このカットが特に貴重で滑走路に着陸するところが使われている。


(6)この滑走路は現在残っているのだろうか?拡張により消えたのだろうか?窓から民家が見える。


(7)そのまま滑走路に着陸してTOKYOとタイトルが入る。格納庫などもよく見える。


(8)格納庫と待機してるプロペラ機が見える。米軍機か民間機であろう。

(9)カメラに向かってくる飛行機ショット。4発エンジンだからダグラスDC-4だろうか?ノースウェスト機である。

(10)代役と思われる俳優の背後からの羽田空港という文字。英語でHANEDA AIRFORCE BASEとなっている。


タラップ降りたら10歩でターミナルというが1948年の羽田らしい。映画らしい短縮か?

(写真には番号を振ったので何か映像や写真から読み取れることがあればtwitterのリプライやfacebookコメントで情報寄せて下さい。随時追記して行きます。)

そしてこれがアメリカのフィルム・アーカイブにアップされていた「東京ジョー」のスクリーンプロセス用実景と思われるショット。

(解像度720p)


鮮明度がハンパない。さすが35mmフィルムである。

当時の羽田空港のターミナルから遠ざかっていく後退映像であることからクルマでハンフリー・ボガートが空港から東京に向かうシーン用に撮られたものと思われる。

本編では空港の次は都内のショットにつながっており脚本にはあったけど編集でカットされたのかもしれない。

いずれにしても720pの解像度でネット上に存在し、フィルム傷もないかなり良い状態のデジタル映像というのが興味深い。鮮明度から考えてネガからテレシネされているのではないだろうか?

このブログでは引き続き「東京ジョー」にまつわる映像について読者のみなさんと分析・解析していきたい。

なお、これまで「昭和レトロ考現学」というカテゴリー名だったものを「映像考古学」に変更した。今後このカテゴリーでは「古い35mmフィルムの解像度がもたらす過去の新しい発見」をサブテーマに書いていきたい。

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